宝石買取の重要なお知らせ
本を買いにきた客はもう1冊また別の面白そうな本を見つけた時点で、カゴがあれば楽だなと考えはじめる。
まさにその瞬間にカゴが目の前に、台の上か、かがまなくても手の届く場所にあったら、客の手が伸びることは間違いない。
それから、ひきつづき3冊目、4冊目の本を買うことだろう。
あるいはしおりまで買うかもしれない。
ここに含まれる教えは明らかだろう。
カゴは店内全体に、買い物客が必要としそうな場所にはどこにでも分散させて置くことだ。
実際、アメリカ中のカゴの山が店の正面から奥へ移動すれば、すぐにも効果があらわれるにちがいない。
たいていの客は少しぶらついてからでなければ真剣にモノを買おうとはしないからだ。
カゴの山の高さは5フィートを超えてはいけない。
カゴが誰の目にも見えるように。
だが、そのために客にかがみこませるのは絶対に避けるべきだ。
買い物客は身をかがめるのを嫌うからだ。
手がふさがっていればなおさらである。
買い物カゴのタイプである蝶番カゴ自体も再考する必要がある。
この店で使っているのは硬質プラスチックの浅いカゴで、蝶番で金属の持ち手がついている。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでよく使われているタイプで、ガラスの瓶などこわれやすい品物を運ぶにはうってつけだが、書籍や事務用品、衣料品を運ぶにはまったく無意味だ。
カゴが重くなると、ぶらさげて歩くのがだんだん苦痛になるが、常識的に考えて残念なことに、カゴの持ち手を腕や肩に通すわけにはいかない。
必然的に、客はカゴにあまりモノを入れようとはしない。
ところで、人が本をもち歩くのにふつうは何を使うだろうか?バッグ、とくにトートバッグだ。
キャンバスかナイロン地のトートバッグをラックに掛けて置いておくのが、ここでははるかによさそうだ。
バッグそのものが売れるという利点もある。
店員はバッグから商品を取りだし、傷や汚れの有無をたしかめたうえで、客にトートバッグの買い取りを希望するかどうかをたずねる。
それからバッグにまた詰めなおせば、ビニール袋まで節約できる。
これまで見たなかでカゴの使い方がもっともうまかったのは、マンハッタンのOである。
私はいつも小売業者を連れて見学にいく。
この町でもっとも活気のある、エネルギッシュな買い物ができる店だ。
内部に足を踏み入れたとたん、群れをなす店員がにっこりしながら、メッシュの黒いトートバッグを渡してくれる。
このバッグはプラスチックのカゴよりも安価で、軽く、保存が容易で、見栄えもずっといい。
実際、このバッグを買いたいかとレジでたずねられた客は、かなりの確率でイエスと答え、最後の最後にまた一点お買い上げとなる。
これまで目撃したなかでカゴの使い方がもっとも下手だったのは、南部のある百貨店で、クリスマスシーズンのことだ。
入口を通ってすぐの完璧な位置に、メッシュのトートバッグを掛けた大きなラックが置かれていた。
ところが、その真ん前にどこかのマーチャンダイジングの魔術師がサンタクロースの縫いぐるみで巨大なディスプレイをつくっていた。
そのため、バッグは入ってくる客の目から完全にさえぎられてしまった(店からでていく客の目にはよく見えたが)。
いくつのサンタが売れたか知らないが、このまずい決断を相殺するほどではなかっただろう。
テーブルウェアのメーカー兼販売のPをわれわれが調査したときは、カゴのほかにもショッピングカートが客のために用意されていた。
ところが、レジを観察すると、カートに皿やボウルを限界まで詰めこんでいる人が大勢いた。
さっそくカートを4割ほど大きなものに取りかえたところ、顧客一人当たりの平均売上げも急上昇した。
ここから、買い物の世界を総括する重要事項が思い出される。
顧客がどれほど買うかは、最大限に快適かつ簡便、しかも実用的な買い物体験を提供できて初めてわかる。
客の手を自由にするために、もっと複雑な方法をとる小売業者もいる。
買い物客に100%手ぶらな感じを、もう意味がなくなるまで、つまり出口にたどりつくまでもたせるのだ。
このアイデアはクロークが、コートだけでなく手荷物を預かるシステムを組みあわせたもので、客は店に入るとすぐに邪魔な荷物を預けることができる。
そして、買った商品をもち歩くかわりに、その袋や箱を出口の近くのお買上品預かり所へ送るよう従業員に依頼する。
手ぶらでのんびりと買い物をすませた客は出口に向かい、コートと帽子と手荷物、それに買った品物を受け取って、そのまま車やタクシー、あるいは待機していたリムジンに乗りこむのである。
ときには、これでも不十分な場合がある。
DのSショップは、現在もこの問題と取り組んでいる。
その店は日中ずっと閑古鳥が鳴いている。
分別のある入園者は買った品物をかかえて、園内を歩きまわりたいとは思わないからだ。
だが、それも午後4時半までのこと。
その時刻になると、血眼で土産物をあさる人びとの群れでショップはてんやわんやの大騒ぎになる。
お買上品預かり所が設けられてからは、客が午前中に買い物をしてから手ぶらで店をでて、夕方、帰りがけにお買上品預かり所に立ち寄り、品物を受け取れるようになった。
ただ、問題は買った品物を忘れる客がかなり多いことだ。
あるいは店から客のホテルヘの配達を考えてもいいだろう。
このようなサービスに関する私の最大のビジョンの一つに、Bに提案したものがある。
マンハッタン本店の8階はどうにも行きにくい場所で、販売にはまったく不向きだ。
私は、このフロアを優良顧客のための一種のセミプライベートのリトリート(隠れ家)に変えることを提案した。
化粧室、ATM、カフェ、コンシェルジェなどのアメニティ施設、もちろん、クローク兼買い物の世界における手の問題の重大性は、どんなに強調してもしすぎることはない。
すばらしい店をつくることはできる。
最高の品質か値段か魅力を備えた商品を用意すればいいのだ。
だが、客が手に取ってくれなければどうにもならない。
触感や試着など、買い物の感覚的側面というきわめて重要な事柄。
客が商品に手をのばして感じることができなければ、もちろん買うこともない。
だから、問題は客が取ったものを確実にもち運べるようにするだけという単純なことではない。
客は手がふさがっていた場合、その判断をするところまでもいかない。
したがって、多くの場合、平台のほうがラックにハンガーをぶら下げておくよりも、衣料品を見せるには好ましい。
片手しかあいていない状態でハンガーにかかった服を調べるのはいささか厄介だ。
それにたいし、平台は荷物を置いて、セーターを広げ、じっくりと見てさわることができる。
客がたまたまニューヨークを訪問中なら、ホテルへの配達もできる。
このセミプライベート・クラブのメンバーシップをホテルに売り、ホテルから宿泊客に提供させることもできそうだ。
こういうサービスは、大規模にやった場合にもっとも威力を発揮する。
いずれショッピングモールやショッピングセンターの開発者は、このようなシステムをすべてのテナントに用意するだろう。
そして売上げを、そしてもちろん彼自身の分け前も大きく増やすことだろう。
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